JLCAデータベース
データベース利用上の留意点
インベントリ分析用データ
- 1.本データベースの性格
- 本LCIデータベースに掲載されているインベントリデータは、利用者がデータ収集できない場合に「バックグラウンドデータ」として利用することが可能です。但し、自工場での製品生産工程を反映したLCA分析を実施する場合には、自工場の実際の原燃料消費量などを反映した「フォアグラウンド」データを収集することが必要なので、本データベースを利用されることは推奨できません。LCAの目的や国際規格(ISO)を参照され、本データベースを利用されるよう留意下さい。
- 2.計算機能
- 本LCIデータベースには、LCAソフトウェアに相当する計算機能は付属していません。また、各インベントリのシステム境界は工業会の生産活動に対応しています。したがって、製品の「ゆりかごから墓場まで」(たとえば、資源採掘~素材生産~製品組立~製品使用~製品廃棄)をシステム境界として、当該製品(システム)の環境側面を評価する場合には LCIデータベース利用者自らが、LCIデータベースを利用して、累積計算する必要があります。
- 3.システム境界
- 工業会から提供されたデータベースは、基本的に各工業会の責任が持てる範囲をシステム境界としています。LCAの実施にあたっては、システム境界を目的に応じて設定することが必要なので、利用者は各データベースのシステム境界の違いを十分認識して、利用してください。
- 4.データベースの時間的有効範囲
- 本LCIデータベースは過去の操業データなどの実測データ等に基づいています。(データの収集時期は、データベースやデータの概要に記載しています。)また、生きたデータベースなので、随時データ提供元がデータを更新することがあります。したがって、将来予測を目的として、本データベースを利用される場合には、原料やエネルギーなどの需要構造の変化により、データが随時変化する可能性があることに留意して、LCAを実施するなどデータベースの時間的な有効範囲を考慮する必要があります。
- 5.サブシステムからの排出物質項目
- インベントリ分析用データには、サブシステム出力情報として大気圏・水圏への14排出物質の項目が用意されていますが、必ずしも全ての項目に数値が記載されておらず、空欄の場合がございます。この空欄は、排出物質が無いことを意味するのではなく、現時点でデータが揃っていないことを意味します。
従いまして、排出物質に関する情報を扱う際には、空欄イコール「0」ではない点にご注意ください。
環境影響評価用データ
本データベースに掲載されているLCIA用の各種係数リストは、日本版環境影響評価手法として本プロジェクトにおいて研究した成果です。しかし、環境への排出や資源消費などが及ぼす環境問題は複雑な因果関係があり、全てを説明しているわけではありません。数多くの有識者に検討いただきましたが、本リストは一つの事例研究結果としての評価手法の提案であり、今後の利用をとおして多くの意見を頂き、精査すべきと考えています。この点に留意下さい。