JLCAデータベース

LCA連結データ作成にあたって

主旨

 LCA日本フォーラムでは、工業会等よりご提供頂いている「インベントリ分析用データベース」に加えて、よりユーザの皆様がより利用しやすいようとのことから「LCA連結データ」を整備しました。「LCA連結データ」とは、工業会等から提供されている「インベントリ分析用データベース」にIDEAver.2.0β版(H27.10現在)の該当データを上流連結して原単位化したデータになります。

 「インベントリ分析用データベース」は、単位プロセス型(Gate-to-Gate)のデータであるため、ユーザの方がデータを使用する際、自ら計算してプロセス合算型(Cradle-to-Gate)のデータにすることが必要でした。「LCA連結データ」ではこの作業を予め、LCA日本フォーラムで行うことで、ユーザの方に、より使いやすい原単位を提供することをねらいとし、今後もLCAデータベースの活用が活発になることを期待しています。

経緯

 LCA日本フォーラムでは、データベース委員会を中心に我が国の産業界に必要なLCIデータベースのあり方について検討するため、平成24、25年度にわたってデータベースの管理手法に関する調査事業を実施してきました。

 本調査では、日本のデータ及びデータベースについて使い勝手の良さなど利便性の向上に対して高いニーズがあり、今後、こうしたニーズに対応した我が国におけるデータ整備、更新(管理)、利用の活性化を図っていくことが必要であることを確認しました。

 こうした状況を受け、経済産業省から協力の呼びかけもあり、産業技術総合研究所等と今後の進め方等について協議を行い、経済産業省、LCA日本フォーラム、産業技術総合研究所、産業環境管理協会の協働による「データベース整備事業」が行われました。

 この事業の中で、LCA日本フォーラムの「インベントリ分析用データベース」と、統計データ等の活用により網羅性を高めたデータベース(IDEA)との統合・整備作業を行い、「LCA連結データ」を作成しました。併せて今後のデータベースの運営の在り方の検討が行われました。

LCA連結データの考え方

 「インベントリ分析用データベース」に登録された工業会データ(以下「JLCA工業会データ」)とIDEAデータを連結方法は以下のとおりです。まず、JLCA工業会データの入出力情報をデータセット作成基準等を参考に評価し、入出力情報が適正であるかを確認してJLCA工業データまたはIDEAデータを上流連結しました。上流連結にあたっては、JLCA工業会データを優先させることとしました。イメージを下図に示します。

JLCA工業会データとIDEAデータとの連結を図にしたものを以下に示します。

次に、JLCA工業会データとIDEAデータとの連結を図にしたものを以下に示します。

JLCA工業会データとIDEAデータの上流連結イメージ

 この図の例ではまず、JLCA工業会データに入力される中間フロー(原材料A、原材料B、エネルギーa)に対し、その上流の入出力の中間フロー(原材料C、原材料D、エネルギーb、原材料E、原材料F、エネルギーc)を連結します。さらに原材料Cの上流の入出力の中間フロー(原材料G、原材料H、エネルギーd)を連結というように、最終的に資源に遡るまでこの連結を行います。

 また、連結したデータの単位が異なるものについては、単位換算を行い、単位を揃えます。

 こうしてIDEA項目とJLCAデータとを連結したかを表したものが「LCA連結データ」の「入出力データ」となります。

 連結された資源と環境負荷物質の基本フローの量を合計したものが、「LCA連結データ」の「原単位データ」中の原単位欄に数値として表されます。そのため、原単位には、製品に直接含まれない元素・物質や直接投入されていない物質が入力されたり排出されることがあります。これらは、ライフサイクルの中で間接的な利用、もしくは排出されたと考えられる元素・物質です。

 また、インベントリデータ作成の限界として、連結対象となるデータの中間フローには大小様々な分類があり、例えば「その他の非鉄金属」といったように、一つの分類が大きな中間フローになることもあります。

その場合、「その他の非鉄金属」に関わる資源と環境負荷物質が連結対象となり、直接利用していない元素・物質が原単位欄に表されることがあります。

LCA連結データの取扱いについて

LCA連結データの運用について

LCA連結データはLCAデータベース運用規則(以下規則という)に基づき運用します。

本連結データ及びその構成要素は以下に該当するものとします。

  • 「インベントリ用データベース」は規則第2条(2)イ「LCAプロジェクトを通して工業会より提供されたインベントリ分析用データ」またはロ「工業会から自主的に提供されたインベントリ分析用データ」に相当します。
  • IDEA2から抽出したデータは規則第2条(2)チ「LCA日本フォーラムの活動を通して調査・収集された文献データ」に相当します。
  • 連結データは規則第2条(2)チ「LCA日本フォーラムの活動を通して調査・収集された文献データ」に該当するものとします。


(参考)以下、LCAデータベース運用規則上の本件に関わる注意点をまとめます。

【公開の対象】
規則第3条に基づき、公開の対象はLCA日本フォーラム会員となります。

【所有権他】
規則第9条を鑑みて、連結データの所有権はLCA日本フォーラムに帰属するものとなります。
ただし、規則第9条第1項に基づき連結データに含まれる工業会データの所有権は当該工業会に帰属します。

【利用結果に関わる責任】
規則第10条1項に基づき、連結データの利用結果に関わる責任は当該データ利用者が負うものとし、データ提供者及びLCA日本フォーラムは一切の責任を負わないこととなります。


LCA連結データとJLCA工業会データ

今回のLCA連結データとJLCA工業会データはシステム境界など数値の背景が異なります。
データを使用する際には、その点を考慮の上、使用目的に応じて使い分けてください。